Leica M3 + Summicron 5cm/f2 ILFORD DELTA 400 |
写真を撮ることと憂鬱な気分になることは、相性が良いのではないかと私は思っています。
憂鬱になると自分自身との対話が増えてきますから、対人関係の中で無効化されていた心のセンサーに次々と電源が入っていくかのように思えるのです。
もしも鬱屈に満ちた日々を送っていたとしたら、自分自身の内面と良くアクセス出来る状態になっています。
だとしたら、カメラを持ち出して自分にこう問いかけるのです。
"何を憂鬱に思うのか、本当は、どうであって欲しいのか。"
そんな風に自分自身との対話を進めていくと、ぼんやりとした嫌な気分の在処と、望んでいる結果が、だんだんとはっきり見えてくるようになっていきます。
それを一枚撮り、また一枚撮りと心を形に表していけば、本当の自分の写真が撮れるのだと思います。
そうして36コマのネガを見た時、それまでの出来事を振り返った時、それまでの人生を振り返った時、そんな風に悩んでいたこともあったなと、優しい気持ちでいることができるのです。